「観光教育とは?」
「観光教育のもたらすメリットは?」
「観光教育がススメられる理由とは?」
今回は、学校教育において注目される「観光教育」について解説します。
観光教育が与えるメリットや事例とは?
目次
「観光教育」とは?
・「観光」が及ぼす地域への効果や地域資源の魅力を発信し、地域観光を開発する人材を
「観光教育」とは
地域における「観光」がもたらす役割を理解し、そして実際に地域や日本各地の観光資源の魅力を発信・開発できる人材を育む教育
と考えられています。
2003年に「観光立国」宣言がされ、地域自治体や高等教育機関において様々な「観光」を通じた施策・教育がなされるようになりました。
一方で、「観光」を通じた教育は、早くても高校∼大学を焦点に行なわれ、義務教育課程や小さい頃からの「観光教育」はほぼありませんでした。
このような流れにおいて、「観光教育」が様々な教育分野・科目に応用でき、課題発見・追求型の教育を実践できるとして期待されています。
観光教育のメインは「社会科学習」!?
義務教育課程の小中学校においては、「社会科学習」との親和性が高いと期待されています。
小学校3年生の単元である
- 「地域に見られる生産や販売の仕事」
- 「身近な地域や市区町村の様子」
- 「地域の安全を守る動き」
- 「市の様子の移り変わり」 etc.(一部抜粋)
中学校の単元である
- 「地域の在り方」
- 「日本の地域的特色と地域区分」
- 「私たちが生きる現代社会と文化の特色」
- 「市場の動きと経済」 etc.(一部抜粋)
これら上記の社会科学習の単元において、実際に「観光」を通じた教育がなされ、「観光立国」や地方創生における「観光」を活用した施策に際し、今後より更に「観光教育」が推進される可能性があるでしょう。
参考:国土交通省 観光庁
「観光教育」のススメ|「観光教育」のメリットは?
・「観光教育=地域貢献」に繋がる実践的な学びの内容
観光教育は、生徒と地域の繋がりを促進させ、「地域への愛着」を醸成することが期待されます。
「観光」とは、地域の農業∼サービス、IT分野など様々な分野にまたがっています。
その為、「観光教育」は地域経済の仕組みや地域内の人々との交流、特産品や地域資源研究を通じて、地域をより知るキッカケになるでしょう。
「観光=旅行(娯楽的な要素)」と捉えられることも多く、また社会科にしか応用できないのでは?という意見も多くあります。
「観光」は、国際的に、そして日本国内においても重要な施策となっています。
「観光」という地域に根差した経済・文化・環境・社会的側面などを更に考慮・研究し、「観光教育」を地域に根差すことは、最終的に地域へのメリットを及ぼします。
▼関連記事:観光地域で根差す「シビックプライド(郷土への愛着)とは?▼
・「観光」という課題先進分野における「課題追求学習」
地域において、「観光」とは注目される経済的分野です。
一方で、地域の観光開発は未だ発展途上で、持続可能な観光開発や地域資源を活用した施策、インバウンド対策やマイクロツーリズムの促進など、様々な課題が山積しています。
そして、学校教育においては、より課題解決型の学習やディスカッション、実践的な学習要綱が組み込まれています。
このような教育現場において、地域課題を解決し、より実践的な学習を促す「観光教育」が期待されています。
実際、「オーバーツーリズム」や地域資源を活用した特産品開発、外国人の周遊性向上の支援など、様々なテーマを基に生徒間で議論を重ね、「観光教育」を通じて課題や疑問を発見し、解決する力を養うことができるでしょう。
・国際観光が拡大するインバウンド市場による国際理解の促進効果
グローバル化時代と叫ばれ、島国日本においても外国人や多文化、多様性などへの幅広い理解力が問われるようになっています。
それは、英語だけに限らず、異文化コミュニケーション能力や価値観への対応など様々で且つ複雑な部分です。
また、国際観光や国際ビジネスが急激に往来する今、「観光教育」による国際理解力や異文化コミュニケーション能力の向上は重要な課題となっています。
「観光教育」を通じたインバウンド観光客への接し方、国際観光の経済・社会・文化的側面への学習などは、日本の地域へにも好影響を及ぼし、グローバル人材の開発に寄与します。
学校教育における「観光教育」の事例とは?
・仕事旅行社|仕事を通じた地域密着型の「観光教育」
2011年に設立された仕事旅行社が提供する「仕事旅行」は、「憧れの仕事を短期間体験出来るサービスを提供する」をコンセプトにした「観光教育」の商品です。
「観光教育」において、実際に現場を体験するようなフィールドワークやインターンシップは、観光客目線と観光事業者目線の双方で「観光」を捉える好機となります。
「刃物職人になる旅」や「鋸山ツアーガイドになる旅」、「西陣織職人になる旅」など、地域に関わる様々な観光業を体験することで、新たなキャリアや幅広い選択肢になるでしょう。
▼参考:仕事旅行|はたらく私のコンパス≪170種類の職業体験≫▼
・「旅いく」|着地型観光をテーマに、本物を体験する「観光教育」
JTB法人東京とお茶の水女子大学で共同開発した、「子どもと共に生きる力の芽を育てる機会」をテーマに、地域の観光を通じた体験商品を提供しています。
- モノをつくる
- 街ではたらく
- 自然に学ぶ
- 文化に親しむ
を軸に、「産業観光」や「グリーンツーリズム」「伝統工芸体験」などを通じた、子どもたちの地域理解や仕事体験による知見拡大を目的に組み込んだ観光教育プログラムは、今後観光人材の育成にも貢献するでしょう。
注意:「旅いく」は2021年3月15日をもってWebサイトは閉設。「いこーよ」サイトで閲覧可能
▼参考:「いこーよ」▼
▼関連記事:「グリーンツーリズム」とは?自然あふれる体験型の観光とは▼