【観光士が教える】トレーサビリティとは?|地域創生におけるトレーサビリティについてわかりやすく解説!

「トレーサビリティという言葉を聞くようになったけど、、、」

「トレーサビリティとは何なのか?」

「地域創生におけるトレーサビリティの役割は?」

今回は、〔Trace〕+〔Ability〕から成り立つ「トレーサビリティ」について解説します。地域創生における「トレーサビリティ」の役割とは?

以下の点を解説!

・トレーサビリティとは?

・地域創生におけるトレーサビリティの役割

「トレーサビリティ」とは?

「トレーサビリティ」とは、わかりやすく説明すると、

商品の生産・加工・流通・販売までのフードチェーン(行程)において、どこの生産地で、どう生産され、加工され、流通から販売まで至ったのかという経路情報を細かく追跡すること

注意!「トレーサビリティ」の定義 

「生産、加工及び流通の特定の1つ又は複数の段階を通じて、 飼料または食品の移動を把握できること。」(*ISO 22005:2007)

*International Organization for Standardization(国際標準化機構)

「トレーサビリティ」は、元々長さや質量などを計測する機器の精度や確実性を保証するための用語として使用されていました。

最近では、農林水産省が発表するように農畜水産関連の食品や商品に関わる安全性や信頼性を保証するため、製造∼販売までの工程を管理するという文脈で、「トレーサビリティ」が使われるようになりました。

 一般的には、農林畜水産だけでなく、医療・交通・観光・デジタルまで応用されている

なぜ、「トレーサビリティ」が注目されるのか?

・頻発する食品安全が脅かされる事件

・持続可能な開発目標「SDGs」機運の高まり

中国産冷凍食品による健康被害、食品成分偽装や表示違反、海外産製品の不正輸入など、私たちが口にする食品や手にする商品の安全性・信頼性が損なわれる事態が発生しています。

また、商品開発による環境被害、過酷な労働の強要、搾取される人権の保護機運など、人間生活に関わるが、あまり目に見えない所で起こる大きな課題に対し、「SDGs」という持続可能な開発目標が提示されています。

このような国内外で重要性を増す、食品や商品の安全性・信頼性を保証し、持続可能な社会開発を目指す動きから、「トレーサビリティ」が注目されています。

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トレーサビリティが果たす「地域創生」への期待

・地域食品や商品の安全性・信頼性の確保

・地域資源を活用した地域に貢献する商品という明確な表示

・地域内外の環境・社会・経済に配慮する社会的責任の意思表明

注意:「トレーサビリティ」は、あらゆる行程を追跡できる可能性をもつシステムですが、卸売業者の多い日本、デジタル技術の普及していない状況では、上手く導入・活用している企業も少ないのが実態です。

地域食品や商品の安全性・信頼性・地域への貢献性を保証する「トレーサビリティ」

地域創生を実現するため、地域自治体や住民、企業は日夜こぞって地域商品の開発に邁進しています。

一方で、地域商品のなかには、その地域内の資源や労働力を使わず商品化し売り出している例も多くあり、全てが地域に利益をもたらしているとは言えません。

食品安全の問題もさることながら、「地域」に貢献する持続可能な開発を目指すことは重要です。

そのためには、地域住民や消費者が「地域」にフォーカスすること、企業や開発者も「地域」の資源を活用した商品・サービス開発およびトレーサビリティによる生産∼販売管理の見える化を行う必要があるでしょう。

・地域内外の環境・社会・経済に配慮する社会的責任の意思を表明する義務

SDGs(持続可能な開発目標)やエコなどの概念は、国際各国・企業活動だけでなく消費者の行動にも変化を与えています。

このような国内外の動きに対し、地域内においても環境・社会・経済に焦点を当てた施策が重要性を増すでしょう。

トレーサビリティは、すべてがこれら持続可能性を表す指標とはなりませんが、企業の果たす社会的責任の明確およびリスクマネジメントとして、事業活動の根底に考える必要があります。