「自治体が行うふるさと納税の効果って?」
「納税者からは嬉しいが、自治体には不利益?」
「ふるさと納税の失敗理由や問題点を知りたい」
今回は、自治体がこぞって実施している「ふるさと納税」について、
なぜ、ふるさと納税が失敗と言われるのか?
を出来る限り分かりやすく解説します。
目次
「ふるさと納税」とは?そもそも
地方間格差や過疎化により税収が減少する自治体に対して格差是正を推進する納税制度
「ふるさと納税」を分かりやすく説明すると、
年収や家族構成などに基づく自身の控除上限額のうち、自己負担額2000円を除いた居住地以外の自治体への寄附金の全額が、自身の居住する地域の所得税及び住民税から控除される制度
ふるさと納税に関する具体的な手続きやシステムは、ふるさと納税ポータルサイトやさとふるなどに記載されています。
拡大する「返礼品」とは?
「ふるさと納税=地域の特産品を貰える」というイメージは大きいかもしれません。
最近では、自治体により、寄附金の何割かを返礼品として購入し納税者に贈る取り組みが行われ、「寄附金-返礼品の割合額=自治体への税収」となり、返礼品を買うことで地域の企業にも好影響になるとして、「ふるさと納税」バブルが勃発しています。
では、メリットの多い⁉ふるさと納税が失敗と言われる理由は??
▼大阪府泉佐野市が直面した「ふるさと納税」の問題点を追及した一冊
ふるさと納税が失敗と言われる理由
地域自治体の税金の流出|国民の税金を取り合うという市場無しのゼロサムゲーム
ふるさと納税は、地域特産品の返礼品や自治体間の「ふるさと納税争奪戦」により、地域内の経済効果や自治体間の地域活性化に対する意欲促進になると考えられています。
しかし実際は、より地方地域の事態を複雑化させるなかで、
「限りある税金が、地方から地方へ流出する可能性」
を含む制度なのです。
ふるさと納税に関心を持つ住民が増えるのに従い、元々地域に入るはずだった税金が控除され、自治体の納税収支が減少するという危険性があるのです。
地域がこぞって奮闘するふるさと納税ですが、限りある税金を地方地域同士で取り合い、どちらか一方の地域が急激に財政悪化となることもあります。
お金を新たに生み出す市場原理ではなく、限りのあるお金を衰退する地域同士で取り合う「ふるさと納税」の意義は何でしょうか?
地方交付税の「交付団体」と「不交付団体」という壁
ふるさと納税は、大都市間と地方間の格差是正を目的にその取り組みが行われています。
一方、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し財源確保を支える目的の「地方交付税」を貰えるか、貰えないかで、「ふるさと納税争奪戦」の勝敗が決まるとも言われています。
「都道府県や市町村への寄附受入額」と「寄附に伴う住民税などの流出額及び控除額」
を比較し、税金が流出しマイナス収支が発生した場合は、75%が地方交付税として補填されます。
しかし、東京都23区や比較的裕福な都市は、地方交付税の「不交付団体」であり、地域内の税収が増々減少するという問題に直面しています。
また、地方交付税を貰える自治体でも、75%で補填出来ない部分は自己減収となります。
実際、地方地域間でも「勝ち組」と「負け組」が現れ、富める地方と廃れる地方の格差が広がっています。
結局、日本政府が税金で税収補正を行う一方、ふるさと納税で儲かる自治体と儲からない自治体が増え、地域間格差はより先鋭になることが危惧されています。
返礼品によって潤う企業と潤わない企業
ふるさと納税によって、地域の特産品や商品が買われ、納税者の元に届くという地域への経済効果も見込むことは出来ます。
一方で、ふるさと納税の返礼品を決め、宣伝を行うのは自治体の担当職員であり、地域・全国間の企業競争や市場の原理が働かなくなることも示唆されています。
本来は、企業が市場競争のなかで消費者に適した商品開発や販促活動を行うべきものが、消費者は「ふるさと納税=節税対策、ほぼ無料の贈答品」という認識で居住地外へ納税し、地域内の企業も「自治体頼り」になり、商品管理や企業活動が停滞する可能性もあります。
まとめ:「ふるさと納税」は、地域間格差を是正し、地方・地域活性化をもたらすのか?
今回は、ふるさと納税が失敗と言われる理由について解説しました。
確かに、ふるさと納税は地域へ好影響を及ぼすことも示唆されています。一方で、地域間の貧富の格差が拡大し、富めない地域はより衰退の一途をたどることになる可能性があるかもしれません。
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