
こんにちは!
今回は、車椅子利用者の国内旅行市場における研究と車椅子ロボットを活用したシニア層や障がい者の為の旅行/宿泊支援について紹介したいと思います。
車椅子利用者の推移

1947年~49年生まれの団塊世代が75歳を迎え、日本国民の4人に1人が75歳以上になる社会が2025年に迫る「2025年問題」にあるように、少子高齢社会及び人口に占める高齢者の割合がさらに増加する懸念があります。
また、日本の在宅身体障がい者の数は、約358万人(H18)で、肢体障がい者は約181万人という結果もあります。
このような現状において、車椅子利用者の数も今後増加する傾向にあります。
上記の肢体障がい者の内訳181万人は、平成18年時点のもので、現時点での正確な車椅子利用者数が発表されていませんが、その数はおよそ200万人程だとも言われています。
また、電動車いす安全普及協会の発表する車椅子の国内出荷台数の推移でも、車椅子の出荷台数は上下があるものの、単純計算で足していった場合、約200万人の車椅子利用者がいることは妥当で、それ以上の車椅子ユーザーがいる可能性も示唆され得ます。
参考:電動車いす安全普及協会
車椅子利用者の国内宿泊旅行の課題

「2025年問題」や少子高齢社会の今、国内の旅行/観光業において、増加するシニア層の顧客を確保・維持することが今後重要になっていきます。
一方で、シニア層の国内旅行に関して、不安や懸念など拭えない課題があります。
国土交通省の発表した「車いす・足腰が不安なシニア層の国内宿泊旅行拡大に関する調査結果」では、70歳以上のシニア層が国内旅行をしない理由に、約3割のシニア層が「健康上の理由で」旅行に不安を感じているからと示されています。
また、シニア層や要介護者の旅行実態として、「宿泊施設でのサービス不足」「要介護者の体調不安」「目的地までの移動不安」などは約50%近い旅行者が感じる不安や困難であり、80%以上の旅行者が「要介護者が旅行するための設備やサービスは不足している」「要介護者が旅行するための情報は不足している」と課題意識を持っています。
参考:国土交通省『車いす・足腰が不安なシニア層の国内宿泊旅行拡大に関する調査研究』
車椅子利用者を支援する車椅子ロボット

車椅子ロボット、遠隔操作で利用者の支援「SlideFusion」
慶應義塾大学大学院の研究チームは、車椅子の背に2本の腕を搭載したロボットを組み込み、別の操縦者がVRによる遠隔操作でそのロボットをコントールすることの出来るシステム「SlideFusion」を開発しました。
車椅子利用者は、頭部にセンサーが搭載されたシステムを装着することで、その視線データが頭部の向きと統合され、ロボットの視覚フィードバックとともに遠隔操作者に送られます。遠隔操作者は、その映像データをもとに、車椅子利用者が見ているもの、関心をキャッチし、サポートできます。
参考:ITmedia
車椅子ロボットを活用したシニア/障がい者の国内宿泊旅行

上記の国土交通省の調査結果にもあるように、車椅子利用者や足腰が不安な方々に対する旅行/宿泊支援は不十分で、車椅子利用者がなかなか旅行に踏み出せない現状があります。
車椅子ロボットの活用メリット
車椅子利用者の負担軽減
車椅子ロボットを活用することで、車椅子利用者の情報面、サービス面において充実したものとなります。
例えば、車椅子利用者が困った状況や健康状態が不調な場合、施設側に状況を知らせることで施設従業員は遠隔又はすぐに現場へ駆けつけ対応することが出来ます。
また、施設情報や案内を遠隔で通知することで、利用者が自身で施設を利用できるようになります。
車椅子利用者に対する宿泊施設のサービス向上
施設側は、車椅子利用者の状況を遠隔で知ることが出来る為、状況に則した対応をすぐに行うことが出来ます。また、少数の専門員がいればより車椅子利用者にとって充実したサービスを提供できます。
車椅子利用者に向けた効率的な情報提供
車椅子利用者にとって、宿泊施設の案内や情報が分かりづらく移動が大変という声があります。宿泊施設側は、車椅子ロボットを使い遠隔で車椅子利用者に案内を行うことで効率的に館内を案内することが出来ます。
*宿泊施設のバリアフリー化が前提
宿泊施設のバリアフリーに関し、具体的な規定がないため多目的トイレやスロープだけでバリアフリーと言っている宿泊施設も目立ちます。専門員と協力しながら、施設のバリアフリー化を進めるとともに、車椅子利用者に対するサービスの向上を考えることが重要です。
まとめ:車椅子利用者にとって快適な国内宿泊旅行の体験を
今回は、車椅子利用者にとっての国内宿泊旅行に焦点を当て、車椅子ロボットの活用について紹介しました。宿泊施設におけるバリアフリー化は未だ課題が残る分野である一方、シニア層や車椅子利用者を積極的受け入れる環境を作ることが出来れば市場を拡大することも可能です。
前提として、施設のバリアフリー化を推進し、且つサービス面の向上として車椅子ロボットを活用するなどシニア層や車椅子利用者にとっての国内宿泊旅行の体験を実現しましょう。