「観光マーケティングとは?」
「観光マーケティングのポイントは?」
今回は、2020年の観光動態を把握すると共に、観光マーケティングについて紹介します。
観光コンテンツを創り宣伝するでけではない、観光マーケティングの重要なポイントとは何でしょうか?
目次
観光マーケティングとは?
観光マーケティングとは
「企業その他の組織が観光客の観光行動実現にかかわるニーズを満たすとともに、事業目的を達成するような取引を実現する過程」と定義されています。(長谷政弘)
そして、市場や顧客第一の目線で、「顧客が真に求める商品・サービスを作り、届ける活動」を行うことが観光マーケティングの上で重要となっています。
マーケティング活動は、常に「市場」の視点に立ち、消費者に求められる商品やサービスを作っていかなければならないことは、観光業においても同様です。
観光マーケティングの範囲と重要性
観光分野におけるマーケティングは、常に「市場」の変化と共に変移していきました。
近年では、団体旅行などのマス・ツーリズムは減少し、個人観光客や少数の人数による観光が主流となりつつあり、着地型観光で個人のニーズに合わせた事業やマーケティングが重要となっています。
このような流れの中で、第1次産業、2次産業、3次産業と様々な分野にまたがる観光施策において、どう地域の取り組みをマーケティングし、観光客の観光行動に繋げるかが重要となりました。
「モノ消費」から「コト消費」へと消費型が移行するなか、地域の今まで気づかれなかった生活文化、伝統、特産品や芸術などを活用し、新たな「コトづくり、モノづくり、場づくり」を行い流通させ、ひいては地域の経済活性化や交流人口の増加に取り組むことが急務となっています。
▼関連記事:観光マーケティングの施策プロセスを知りたい方はこちら☟▼
2020年の観光動態とマーケティング
コロナウィルスによる「ワーケーション」普及
東京オリンピックがコロナウィルスにより2021年に延期されました。一方で、政府は2020年の7月24日のオリンピック開幕式を「テレ・ワークデイ」と位置づけ、働き方改革を推進する予定でした。
それが、コロナウィルスにより急激に加速し、コロナウィルス収束後は、
旅行中に業務を行うという「ワーケーション」
業務旅行に休暇を付与する「ブリ―ジャー」
場所に捉われない働き方「ノマドワーク」が普及していく可能性があります。
JTB総合研究所の調査結果では、若い世代(ミレニアル世代、Z世代)は、「ワーケーション」に肯定的で、過去一年以内に業務旅行を行った層の31.5%は、「ワーケーション」や「ブリ―ジャー」の普及に肯定的だったという結果があります。
地方の少子高齢化に対応!?
日本国内、特に地方においては少子高齢や都市への一極集中により社会面・経済面において衰退が著しく進んでいます。
このような状況において、場所に捉われず働ける、そして地方の魅力に包まれながら暮らす「ノマドワーク」や「ワーケーション」のようなワークスタイルが期待されています。
一方で、地方では仕事受注の低さや都市との経済格差、社会制度の不足など、未だ課題が残ります。地方における交流人口の促進や企業や働き手の柔軟に働きを支援することが今後重要になります。
個人旅行の顕著化!
近年、従来型の団体パッケージツアーは減少傾向にあり、2020年以降にも増々、個人旅行や少数の家族・友人旅行が主流になっていくでしょう。
JTB総合研究所の調査によると、2018年の個人旅行の割合は、国内旅行で75.8%、海外旅行では47.5%(ダイナミックパッケージを含めると、それぞれ83.6%と62.5%)に上ります。
交通手段や宿泊をそれぞれで予約・決済できるサービスも増え、消費者の旅行/観光動態が増々不透明になる可能性もあり、いかに消費者に旅行/観光サービスの価値を伝えるかが課題です。
持続可能な観光時代へ
2015年の国連サミットで、「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、日本だけでなく世界各国で、持続可能な消費や開発、環境や気候変動への対応が取り組まれています。
サステイナブルの認証や基準に準拠したサービスや商品が増え、エコ推進や自然環境を守るグリーンツーリズムの普及や社会や地域住民の観光公害の被害を軽減する取り組みも行われています。
Booking.comの「サステイナブルツーリズム(持続可能な観光)」に関する調査では、海外の旅行者72%が「次世代のために地球を守るには、人々は今すぐ行動しサステイナブルな選択を行う必要がある」と回答したいた一方、日本では「持続可能な開発目標」に対する考えは40%に留まる結果でした。
環境や社会、地域の生活を守り地域振興を行うためには、「持続可能な開発目標」の考え方が重要で、グローバルな視点のサステイナブル推進を行っていく必要があります。
▼関連記事:2021年の世界の消費者トレンドとは?▼
「モノ消費」から「コト消費」へ!「体験」の重要性
近年、訪日富裕層や観光慣れした層では、地域に訪れ風景を見るような旅行や観光は減少し、より地域に根差した文化や生活を「体験」したいというニーズが増加傾向にあります。
訪日観光客の増加や新たな観光ニーズにより「ニューツーリズム」のような体験型の観光スタイルも増々主流になることが予測されます。
テーマに沿った「アクティビティ」、エコや地域資源を持続的に守り開発する「自然」、地域の国際化や様々な交流人口による地域活性化「異文化交流」が主な柱として、「体験型ツーリズム」を積極的に推進していく必要があります。
参考:JTB総合研究所
まとめ:観光マーケティングの基礎を把握しよう!
観光分野、今後ますます地域振興において重要な位置づけとなるでしょう。そうした際に、ただ地域商品を売るのではなく、市場目線に立ったマーケティングを行い、顧客や消費者に求められる観光商品・サービスを醸成していくことが重要です。
今後はさらに、観光マーケティングにおける地域ブランド、観光商品ブランド等、マーケティングにおいて重要な要素など随時紹介していきます。
参考文献:観光地域コーディネートのためのコトづくりモノづくり場おこし学 小塩稲之