訪日観光における富裕層とは?|富裕層の訪日インバウンド観光誘致に向けた取り組み

富裕層向け訪日観光 観光/旅行

「富裕層の訪日観光を誘致したい」

「富裕層の市場効果は?」

「富裕層の訪日インバウンドにおける課題点?」

「観光立国」の実現において、訪日観光客数と同様に、どう日本にお金を落としてもらうかは重要です。そこで、消費単価の高い富裕層の訪日インバウンド観光誘致に注目が集まっています。

今回は、訪日インバウンド観光客でも富裕層の誘致、富裕層がどのくらい市場を活性化するのか、そして富裕層の観光誘致における課題点など解説します。

以下の点を紹介します。

・訪日インバウンド観光における富裕層

・富裕層の市場規模

・富裕層の観光誘致における課題点

・富裕層の誘致に向けた取り組み

訪日外国人観光客数は、2019年に3188万人という過去最多を記録しました。一方で、インバウンド観光客の消費額は4.8兆円で、目標には達していない状況です。

観光消費額の伸び悩みがある中、1人当たりの消費単価が高い「富裕層」の訪日誘致が注目を集めています。

世界の地域別に見ると、富裕層が最も多いのはアメリカです。また、イギリス、フランス、スペイン、イタリアなどヨーロッパ全体の富裕層の市場は、アメリカに匹敵するほどの規模を持っています。中国を始めとするアジアでも富裕層の市場拡大が予測されています。

中でも、UAEやカタールなどの中東は、市場規模は小さいものの、超富裕層や1人当たりの消費額が高いエリアとなっています。

FORBESJAPAN(2016)
世界の富裕層の分布
引用:FORBESJAPAN(2016)

訪日観光における富裕層の種類

・クラシックラグジュアリー(Classic Luxury)

 ・オールラグジュアリー(All Luxury)

・モダンラグジュアリー(Modern Luxury)

 ・セレクティブラグジュアリー(Selective Luxury)

日本政府観光局が定義する富裕層は、

「Classic Luxury」(All Luxury) / 「Modern Luxury」(Selective Luxury)

に分けることが出来ます。



クラシックラグジュアリー(Classic Luxury)とは、何にでも高価なものに価値を見出す典型的なお金持ちの富裕層のことです。彼らの消費は、気になったもの全てに大金を費やすような消費をすることが特徴です。(All Luxury)

モダンラグジュアリー(Modern Luxury)とは、自身の興味のある分野や贅沢だけではないもの価値を見出し、そこに多くのお金を惜しまず費やす富裕層のことです。自分自身や社会のためのボランティアなどにお金を費やすため、優先事項を選択しお金を費やす特徴があります。(Selective Luxury)

訪日インバウンドにおける富裕層の市場規模

・1人1回当たり100万円を消費する富裕層

・観光者数全体の1%、年間4.7兆円の消費額(5市場)

日本政府観光局(JNTO)の定義する富裕層とは、

「海外旅行先で、1人1回当たり100万円を消費する人」

としています。

日本政府観光局の行った調査によると、

アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・オーストラリアの5市場において、年間で1回以上海外旅行をした人は、約3億4100万人。その内、100万円を消費した富裕層は全体の1%、約340万人で、消費額は約4.7兆円に達するという結果になりました。

このように大きい割合を占める富裕層をいかに取り込むかが重要と言えます。

富裕層の誘致における課題点

・富裕層向けの観光コンテンツ

・富裕層のニーズに対する柔軟な対応

・富裕層の多い市場の観光客誘致

・富裕層向けの観光コンテンツ整備と柔軟な対応

日本の観光課題で、富裕層向けの観光サービスの価格帯と質があります。

日本の宿泊施設のサービスは、価格の幅が小さく、価格に見合うサービスしか提供できないという課題があります。日本の高級旅館やホテルの価格はおよそ30~50万円です。一方で、世界的な高級ホテルなどは、1泊400~900万円という価格もあります。日本の高級と言われる宿泊施設も世界と比較すると安く、またお金に見合った範囲内でのサービスしか提供出来ないという問題があります。

例えば、画一的で日本マーケットのみを対象にした昭和~平成時代の観光サービスをそのまま価格だけ挙げて訪日外国人や富裕層に提供するなどの例もしばしば見られます。富裕層向けやお金を落とす人には、価格帯をサービスの見合うものにし(おもてなしを含む)、高いイレギュラーな要求に対しても追加のお金を要求するなどの施策も重要です。

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・富裕層の多い市場への観光アプローチ

日本の課題点として、富裕層の多い地域の訪日観光客数が少ないという課題があります。

日本の訪日外国人の構成は、主にアジア周辺国とアメリカです。実際、消費単価の高い中東の国やヨーロッパ圏からの観光客は少なく、富裕層が訪日する機会も少ない現状にあります。日本は、観光客の幅が小さいと言いますが、ヨーロッパ圏や中東への観光アプローチや富裕層に対する特別な観光コンテンツとプロモーションを行い、観光客の多様性も確保すべきです。

富裕層の誘致に向けた取り組み

ポイントは「特別感」

富裕層は、日本ならではの価値ある観光コンテンツを体験しに来ます。一方で、富裕層には富裕層だけの観光整備が必要となるでしょう。

例えば、プロの日本料理人の食事体験や料理体験、人間国宝などから教わる伝統工芸体験、富裕層の要求に合わせた貸し切り、特別な付加価値サービスなど、一般観光客とは異なる「特別感」を更に醸し出すことが重要です。

日本の画一的な観光サービスは、日本人マーケットを対象に成長しました。今後は、世界のマーケットに目を当て、富裕層の宿泊するホテルやサービス、富裕層の払う価格帯とサービスの多様性の考慮、柔軟な対応が出来るような体制づくりなど、富裕層向けの観光整備を行うことが、富裕層の観光誘致において重要です。

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