非日常的な祭りの復興|現代における祭りの意義とは?

          「最近、祭りに行ってないなぁ」

    「祭りって、人が多くてかなわないよな」  

               「地域の祭り事って少なくなっているよね」

今回は、非日常的な「祭り」をテーマに、現代における「祭り」の持つ意義について紹介します。

以下の点を紹介します。

・「祭り」の語源とは?

・現代人の「祭り」に対する意識について

・消費飽和時代、ストレス社会における「祭り」の意義

そもそも「祭り」の語源は?

おがさわらさんによる写真ACからの写真/祭り

・「祭り」の語源は「祀る」

・「ハレの非日常」⇔「ケの日常」

日本における「祭り」の語源は、神様を「祀る」ことにあります。

日本古来の神道において、日本人は自然現象や万物の神として「八百万の神(やおよろずの神)」を信仰し畏怖の念を込めていました。

その万物の神を祈願し、儀式を執り行ったことなどが「祭り」の起源とされています。

また、「祭り」本来の機能として

              「ケの日常」を忘れさせる心の解放

があります。

「祭り」とは、日常的に心の中で抑圧されたものを解き放ち、「ケの日常」をリセットします。また、日常では考えられない「ハレの非日常」な心やエネルギーを噴出させるものとして機能していました。

現代の「祭り」に関するアンケート調査

アサヒホールディングス株式会社が行った「お祭りは好きですか?」というインターネットアンケート調査があります。

・「祭りに行った(行く予定)」:4割以上 *8~10月

 →女性回答:45.9% / 男性回答:35.6%

・「祭りに行かない」:3割強

:4割以上が「祭りへ」、一方で「祭りへ行かない層」も多い。

「祭り」へ行かない理由には?

「祭りに行かない」は、32.5%という結果になりました。

その理由には、、、

「人ごみが苦手だから行かない」(男性50代)

「交通規制や騒音、終わった後はゴミが散らかっているのでイヤになる」(男性40代)

「主人の仕事が忙しく、たまの休みは休養に充てるため、外出自体がない」(女性50代)

など、行きたい気持ちがある一方で、様々な要因から「祭り」に行かないという結果が分かります。

参考:アサヒホールディングス株式会社HP

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「祭り」|現代における意義

人々が「祭り」へ行く機会が今後減少する可能性もあるなか、

              「祭り」の意義とはなんでしょうか?

・過剰な社会的変化→非日常を求める傾向へ

・「祭り」の地域における意義

・「祭り」が変えるコト消費ビジネス|物欲からの解放

ストレス社会における「ハレの非日常性」

現代は「ストレス社会」と言われ、人々は心の葛藤や欲望をコントールし社会に適合する必要があります。日本では、自殺者の増加や世界では犯罪などに繋がる傾向も示唆されています。

このような過剰な社会による心理的影響に対し、

    「祭り」は、人々の抑圧された心を解放し、「ハレの非日常」を演出します。

「ケの日常」に対する精神の解放に位置づけられる「祭り」/「ハレの非日常」が、現代の心理的抑圧の多い窮屈な現代において本来の意義を成し、新たな「祭り」の復興が予期されるのではないでしょうか。

「祭り」が果たす地域での役割

「祭り」は、地域住民が一同に神を「祀る」ことが語源となっています。

現代の「祭り」においてもこのような意義が果たされています。

「祭り」は、地域住民の連帯や地域アイデンティティの醸成を促す。

実際、地域内にその地域を代表する「祭り」があると、地域住民の連帯意識や地域に対する誇りや愛着などがさらに湧くなどの研究もあります。希薄となっている現代人の関係において、「祭り」が果たす意義は重要なものとなっていきます。

「祭り」が変えるコト消費ビジネス|物欲からの解放

「祭り」が、人々の抑圧されている心を解放し、「ハレの非日常」を体感せしめると紹介しました。

一方で「祭り」は、

消費飽和時代における、コト消費ビジネスを形成

します。

モノが溢れ満たされている現代では、より高度な「自分のための消費」、つまりは知識や体験などを得るコト消費が主流となっています。

ストレスの多い現代で、人々が日常を忘れ集い、「ハレの非日常」を体験する「祭り」において、「非日常に対する消費」を促すことが可能で、経済的効果も期待することが出来るのです。

また、地域や事業においても、「祭り」は一種のメディア機能を果たし、地域の認知向上及び地域の交流人口の誘客、ひいては地域や事業の経済的効果の拡大を見込むことが出来るでしょう。

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