「空き家による地域の衰退が著しい」
「空き家を活用した観光地域づくりを行いたい」
「空き家を使った観光地化の事例とは?」
今回は、近年増加する一方で対策の目途が立たない空き家について、空き家を使った観光地域づくりについて解説します。空き家をどのように活用するか、そして地域にどのようなメリットがあるのか等、空き家の事例と共に紹介します。
目次
空き家とは?|空き家の増加率
・394万戸から849万戸へ(1988~2018)
・空き家率:13.6%(2018)
近年、空き家数は大幅な増加を示しています。総務省「住宅・土地統計調査」によると、過去30年間で全国の空き家数は394万戸から849万戸まで増加しました。また、総住宅数における空き家数の空き家率も13.6%に達しました。
空き家の増加に伴う、社会治安の悪化、公衆衛生問題や景観、倒壊の危険など、空き家が実際に生活環境に悪影響を及ぼす事例もあります。また、空き家が増加し不動産価格の下落やコミュニティの機能低下など、地域経済への影響も示唆されています。
参考:ニッセイ基礎研究所
空き家を活用した観光地域づくりとは?
・地域の観光資源との多面的なコラボ
・持続的な地域住民と関係人口との交流
・地域住民や民間が主導する空き家ビジネス
地域の観光資源との多面的なコラボ
地域において、観光資源が点在し観光地周辺において集客効果が見込めないという課題があります。空き家を活用した観光地域づくりにおいて、空き家を観光資源と共に整備し多面的な機能を果たすよう取り組むことが重要です。空き家を整備するだけでなく、観光資源や地域資源とセットで観光客の周遊効果を考える必要があります。
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持続的な地域住民と関係人口との交流
若者が流出し、少子高齢社会が進行する空き家の多い地域において、どのように関係人口を持続的に呼び込むかが重要です。空き家を活用したゲストハウスや多様な働き方を支援する場の提供、また地域や自治体が主体となった空き家を活用した事業と利用者のマッチング、相談会など、積極的な地域外の関係人口との交流が重要となるでしょう。
地域住民や民間が主導する空き家ビジネス
空き家を活用した地域活性化においては、民間や地域住民が主体的に取り組む必要があります。地域に点在する空き家すべてに対処することは行政では困難なため、地域住民や民間企業が空き家を積極的に利活用し、行政が補助や助成金を支援することが重要となります。また、空き家を整備する上で地域住民の理解促進も欠かせません。
空き家を活用した観光事例
増加する空き家をビジネスチャンスと捉え、様々なビジネスモデルの空き家の活用事例があります。観光分野においても、空き家を利活用し地域への誘致を図る取り組みがなされています。
空き家の活用事例①:古民家を改修した会員制の農家民宿を提供
茨城県で活動する里見ツーリズム探究会が提供する空き家を活用した会員性の農家民宿サービスがあります。
会員となっている利用者は、1年で20万円ほどの負担で、二地域居住を実現することが出来ます。また、地域にとっても空き家対策や利用者のリピート促進による地域経済と交流の活性化を推進することが出来ます。
空き家の活用事例②:空き家所有者と利用者を結ぶ不動産マッチング
東京都で、空き家不動産の所有者と利用者をマッチングするサービスを提供するふるさと情報館は、全国の農村/観光地などの土地・空き家を都市居住者に紹介しています。
定年者や定年を迎える人々が希望する二地域居住の促進、地域の売却したい空き家をマッチングすることで無駄のない空き家の利用が見込まれます。
空き家の活用事例③:空き家を活用した地域住民と学生との交流の場を提供
群馬県高崎市で活動する、空き家を活用した地域コミュニティの交流の場を提供するプロジェクト「0号館プロジェクト」があります。衰退する地方市街地の人々と大学生や若者とが交流し、大学生がマチに興味を持ち、就職や移住を決めるキッカケとなるように推進するプロジェクトです。
空き家の活用事例④:地域の空き家を活用したミュージアム
新潟県で活動する大地の芸術祭実行委員会は、地域の空き家や廃校舎をアートミュージアムとして改修しました。現代アートによる地域活性化を推進する同プロジェクトでは、地域の歴史を持つ民家や廃校舎など、廃れていく空き家を地域資源として利活用することで、周辺地域の活性化や新たな事業の創造につながりました。
空き家の活用事例⑤:若者の創業・定着支援で創る「匠の町」
長野県下諏訪町の御田街商店街は、空き家や空き店舗を活用し若者のものづくり支援や創業・定着支援などに取り組んでいます。商店主やNPOが主体となり、「匠の町」として機械工房や衣類品など、ものづくり商店街として若者や創業を志す人々を誘致し、地域の活性化及び空き店舗ゼロを達成しました。
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