【初心者必見】観光におけるMaaSとは|観光地でのMaaS活用事例

「MaaSってどんな技術なの?」

「田舎町の観光は、移動が大変だよね」

「MaaSの観光分野での活用事例は?」

今回は、最先端技術「MaaS」に焦点を当ててICTを活用した観光施策について紹介したいと思います。また、観光分野における「MaaS」の活用事例と共に解説します。

以下の点について紹介します。

・MaaSとは?

・MaaSの市場規模

・観光におけるMaaSと事例

MaaS(Mobility as a Service)とは?

MaaS

自動運転技術や最先端の輸送技術など、社会におけるICTの事例が急激に増加しています。

近年ICTを活用したサービスが普及していく中で、次世代交通を担う最先端システムとして注目されているのがMaaS(Mobility as a Service)です。

MaaSの定義は国や研究者により差異があるものの、

ICTを活用して公共交通機関や交通サービスを行う事業者等、運営主体に関わらず、マイカー以外の交通手段の移動を1つのシームレスなサービスとして繋ぐこと

が基本概念となっています。

参考:国土交通政策研究所報第69号

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MaaS先進国、フィンランド事例

ヘルシンキ

MaaS先進国と言われるフィンランドの首都ヘルシンキで2016年に、MaaSアプリケーション「Whim」が運用開始し、本格的なMaaSの取り組みが始まりました。

利用者は毎月定額又は都度お金を払い、アプリケーション内のポイントとしてお金を換算し、予約から決済まで様々な交通手段(電車、バス、タクシーやシェアバイク等)を利用することが出来ます。

日本においても、2019年12月からMaaSアプリケーション「Whim」の運用が開始されたことがニュースとなりました。今のところMaaS運用は場所が限られているものの、社会にMaaS技術が浸透する日も近いでしょう。

参考:Whim

国内のMaaS市場規模は?

・2018年の市場規模:845憶円

・2030年の市場規模の予測:6兆3600億円

株式会社矢野経済研究所は、2018年国内MaaS市場規模の調査結果を発表しました。

2018年の国内MaaS市場規模は、事業者の売上高ベースで845億円を達し、2030年には6兆3600億円に到達するという予測結果が報告されました。

年平均成長率も2016年から2030年にかけて44.1%に上ると予測されており、今後さらに成長が期待できるサービス分野だと分かります。

国内MaaS市場規模予測

参考引用:株式会社矢野経済研究所

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観光分野のMaaSとは?

最先端次世代交通システムMaaSは、今後様々な分野の移動サービスを支援することが期待されています。現在では、介護者向けのMaaSシステム事例、全交通機関を統一した決済システムなど、MaaSの取り組み事例は増加しています。。

その中でも観光分野において、MaaSを活用した観光地づくり及び観光地の交通利便性の向上は今後重要なポイントとなっていきます。

観光地における交通課題

観光庁が発信する「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」では、

平成30年度において

公共交通機関の利用に困ったという人:16.6% ≒ 多言語表示の少なさに困った人:16.4%   

ほぼ同じ割合になり、重要な課題だと言えます。

その中で、

在来線や新幹線利用者、バス利用者の外国人およそ20%以上が多言語対応したルート検索機能を持つアプリケーションやwebサイトの不足に困惑した

という結果が出ています。

また、クレジットカード払いを希望していたにもかかわらず、結局は現金で支払いを済ませたという人々が多いことから、アナログ決済方法は未だ目立つという結果を伺えます。

参考:観光庁HP「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」結果

観光型MaaSの未来

上記の訪日外国人の旅行における課題や観光地づくりにおける交通利便性の問題及び地方/地域における二次交通(空港や最寄駅から観光地までの交通)の不足等に対して、今後次世代交通システムMaaSの活用が期待されています。

例えば、

①空港から都市部への交通ルート

②都市間新幹線、在来線のサービス

③旅行/観光時の手荷物配送サービス

などを統合したMaaSアプロケーションの導入事例など様々なMaaSの取り組みが行われ始めています。

観光型MaaSの事例

AMV8さんによる写真ACからの写真/観光型MaaS

事例①:瀬戸内の復権へ、MaaSアプリ「Horai」

瀬戸内洋上都市ビジョン協議会は、高松空港からの香川・瀬戸内観光客を対象に、海・陸・空の交通機関やツアーバス等観光事業者とAPI連携した旅程提案型MaaSの実証実験を行いました。

MaaSアプリ「Horai」の実用開発と共に、観光客の観光体験や購買を支える移動網の充足及びタクシー事業者のMaaSアプリ上での配車・決済の導入、クレジットカード決済やオンライン予約の拡充に取り組んでいます。

このようなMaaSアプリケーションを活用した観光整備の事例は全国で増加しており、訪日外国人及び日本人の観光を手助けするものとなるでしょう。

参考:LIGARE

事例②:静岡県伊豆市、MaaS「Izuko」開発へ

伊豆における観光型MaaS実証実験実行委員会は、伊豆地域に訪れる観光客が路線バスやシェアバイク、オンライン上で予約/決済可能なオンデマンド交通等の利用促進を図る目的で、専用MaaSアプリ「Izuko」用いたスマートフォンでの予約・決済サービスの実証実験を行いました。

公共交通の利用促進により、マイカーの交通渋滞を軽減し、観光振興と地域活性化の促進に取り組んでいます。

参考:Izuko

事例③:東北6県の観光型MaaS「TOHOKU MaaS」を拡大!

JR東日本は、2021年4月∼9月まで、東北6県の自治体や企業、観光事業者と連携した観光型MaaS「TOHOKU MaaS」を展開すると発表しました。

交通機関のキャッシュレス化/デジタルチケットや旅の効率的なルート検索及びプランニング、シェアサイクル情報や地域の観光クーポンの発行などのMaaS技術を活用した観光支援を実施することで、観光客の周遊性アップの向上が期待されます。

参考:TOHOKU MaaS

事例④:茨城県のMaaSプロジェクト|ひたち圏域の「Hitachi MaaS」

茨城県のひたち圏域(日立市、高萩市、ひたちなか市、東海村)は、令和2年度より「スマートモビリティチャレンジ」実証地域として、日本版MaaS推進・支援事業に選定されています。

また、茨城県は観光型・地域型MaaSとして「Hitachi MaaS」のアプリケーションサービスを提供し、オンデマンド型のルート案内や配車予約、AIを活用した混雑状況の把握など、地域に根差したMaaS事業に取り組んでいます。

参考:茨城県HP