「ロケツーリズムとは?」
「ロケツーリズムを活用した観光地域づくり?」
「ロケツーリズムの観光事例は?」
今回は映画やドラマ等にまつわる観光施策「ロケツーリズム」について紹介します。自治体における観光客の増加に寄与することが期待される「ロケツーリズム」の課題と観光事例について解説します。
以下の点を解説!
・ロケツーリズムとは?
・ロケツーリズムの地域に及ぼす影響とメリット
・ロケツーリズムの事例
ロケツーリズムとは?
観光庁の定義する「ロケツーリズム」とは、
大河ドラマやお気に入りの映画のロケ地を訪問し、ドラマや映画に想いを馳せると共に、地域の風景や食を堪能し、人々の“おもてなし”に触れ、その地域のファンにさせる観光モデル
と定義されています。
ロケツーリズムの地域観光に果たす影響とメリット
・撮影場所を訪れる観光客の増加
誰でも一つは好きな映画やドラマがあると思います。ロケツーリズムは、そのロケ地を訪れて実際に映像で見た風景を楽しむなど有効なコンテンツとなり、観光客の持続的な誘導に繋がります。
・撮影隊の消費活動による経済活性化
基本的に撮影は長期にわたり、数日~数か月はその地に滞在することもあります。それにより、撮影隊が宿に泊まりご飯を食べ、施設や撮影場所を使う等、様々な消費活動が起こり、地域にお金を落としていき地域活性化を見込むことが出来ます。ロケツーリズムの誘致は、地域の経済活性化策として有効となりえます。
・地元民の地域に対する愛着の醸成
自分の住んでいる地域に有名な俳優や撮影隊が来て、実際に自分の土地が映像に映し出されると嬉しい気持ちになります。また、映画やドラマが成功し多くの観光客が訪れると、さらに自分たちの地元に愛着が湧きます。ロケツーリズムの誘致や取り組みは、地域への誇りや愛着になります。
参考:観光庁HP
ロケツーリズムの観光事例
信州上田フィルムコミッション
平成13年信州上田フィルムコミッションが組織され、累計123本の映画と77本のTVドラマのロケ実績を挙げました。(平成26年度)ex)「サマーウォーズ」「青天の霹靂」etc
ロケツーリズム誘致に際し、オンライン上での利用可能なロケ地の検索システムや地域住民に対するロケ秘話や講座等を通じたコミュニケーション理解、ロケ地マップの製作と市民祭りと映画のコラボレーション企画、私鉄発着音を映画のテーマ曲とする等様々なロケツーリズム施策を行っています。
北九州フィルムコミッション
平成元年より撮影誘致を始め、12年に北九州フィルムコミッションを組織し積極的にロケツーリズムを推進しています。
ロケ支援向上に向け、地元自治会や商工会議所、各種関係者と連携し街中や空港内等の大規模撮影も支援し、作品ごとのロケ地マップや監督や俳優陣も含めた試写会の開催、また映画製作の流れやフィルムコミッションの事業を学べるようにロケ地修学旅行教育プログラム等のロケツーリズムも実施しています。
デイ・ナイト株式会社(昭島市)
デイ・ナイト株式会社は、民間企業として初の昭島ロケーションサービスを平成25年より実施し、昭島市や観光協会、商工会等とも連携しロケツーリズム推進及びロケ誘致に取り組んでいます。
ロケ誘致に際し、昭島市の公共施設や民間施設の撮影場所支援やキャストサイン等の版権活用、多摩地区地域の自治体との広範な連携やMOVIX(昭島市)での試写会の開催等を行っています。
ロケツーリズム協議会による「ロケツーリズムマップ」
観光庁の公認するロケツーリズム協議会が運営する全国ロケ地MAP「Good Locations in Japan」があります。ドラマや映画、小説などに登場した地域のグルメ情報、ロケ地情報の掲載など、外国人向けにも多言語対応したロケツーリズムの推進に取り組んでいます。
参考:ロケツーリズム協議会
ロケツーリズムの観光課題と対策事例
一過性でない継続的なロケ誘致
ロケツーリズムの事例では、映画やドラマの放送後観光客が増加する自治体もあれば、公開後に観光客が減少する自治体もあり、影響が全くなかったということも珍しくはないです。また、公開時は多くの観光客が訪問していたにもかかわらず、数か月後数年後には観光客の伸びも止み効果が一過性に終わることもあります。
ドラマや映画の消費者の関心や好みにより結果が左右されることもあり、様々なドラマや映画の誘致、及び続編などの撮影を行う等継続的なロケ誘致を行う必要があります。
ロケ誘致により創出された地域資源の有効活用
映画やドラマ等の作品に映し出される地域イメージや物語性等を上手く地域資源として活用・保存し、ロケツーリズムのコンテンツとすることが必要である一方、ロケ地マップの作製やプロモーションの対応が遅れてしまった事例もあります。
映画等のロケ誘致や撮影を支援する自治体のフィルムコミッションが積極的に映画やドラマを地域資源として活用し、内外にプロモーションをかけロケツーリズムの観光資源として整備することが必要です。
撮影前後の段階におけるプロモーション課題
撮影中の野次馬の警備や版権問題、SNSの拡散防止等、撮影前後の公開まではプロモーションにおける制約が数多くあることが課題として挙げることが出来ます。
ロケツーリズムを振興した観光地と相反して、映画やドラマ製作の利益も守らなければいけない矛盾に陥ってしまいます。
自治体のフィルムコミッションは撮影隊やTV局、芸能事務所等と密な連携を行い、製作支援を行うと共に観光資源としても積極的に根回しとプロモーション活動を行う必要があります。
撮影や観光公害による市民生活への悪影響
ロケ地巡礼に訪れた観光客の増加に伴うゴミの散乱、夜間の撮影による生態系や人間生活に対して悪影響が発生し、地元地域の人々と自治体や撮影隊等でトラブルが発生するケースもあります。
地域住民や撮影隊、観光客への注意喚起等を自治体の観光課やフィルムコミッションが率先し、地域一丸となってとロケを誘致し、地域の観光資源として活用していくような広範なロケツーリズム推進の協力体制の構築が必要になってきます。
まとめ:ロケツーリズムの可能性に期待しよう
今回は、映画やドラマ等を地域資源として活用するロケツーリズムについてご紹介しました。ロケ誘致やロケツーリズムにおいて、様々な課題が残る一方で自治体や地元住民、撮影隊、フィルムコミッション等と連携し、より良い作品作りと地域振興のためにロケ誘致を促進し、ひいては地域活性化に繋がることを期待します!
参考:ロケツーリズムを契機とする観光振興に向けたプロセスと課題に関する研究https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/53/3/53_1259/_pdf/-char/ja