「地方創生」の本質的な問題とは?
まちビジネス事業家として数々の地域創生事業に携わる著者/木下斉が、地方創生の問題及び地方の抱える本質的な問題を暴く一冊。
目次
『地方創生大全』の紹介文
「地方創生って結局何なのか?」
「なぜ、ずっと同じことが言われているのか?」
本書の特徴は、
衰退を続ける地方における、「地域活性化策」の本質的な間違い
を「ネタ・モノ・ヒト・カネ・組織」の5つの観点から徹底的に暴くことです。
「ネタ・モノ・ヒト・カネ・組織」に基づき体系化された地方課題に関し、具体的に28個の「地方問題の構造」と「再生のノウハウ」を盛り込んだ一冊です。
地方から都市部に来る若者、新しく「地方創生」について学ぶ人、地方の現場で地域活性化に人力する方々、地方行政の人々、そして全国民に今一度読んでもらいたい「地方創生」の現状と課題が網羅された示唆に富む一冊になるでしょう。
要約ポイント5選
1:自分たちの地域の課題に対し、自分たちで考えた地域活性化策を講ずる
2014年、日本創生会議による「人口減少の危機」、及び第2次安倍内閣発足を端に発表された「地方創生(ローカルアベノミクス)」という言葉。
それから6年、地方地域では様々な取り組みが行われてきました。一方で、地方地域の経済衰退及び人口減少など、地方衰退は目に見える形で深刻になっています。
全国的に広まり地域活性化策として注目された「ゆるキャラグランプリ」や地方創生事業としての「特産品開発」、地域ブランド構築事業など、全国どこでも行われている地方活性化は、本当にその費用に見合った効果をあげているのでしょうか??
全国どこでも行われ、凡庸な地方創生事業における問題をあぶり出しています。
2:地方財源の使い道、稼げる地域にするには
地域の交流人口の増加や生活水準の向上を目的に、行政が多くの資金を投資し、歴史観光施設や大型ショッピングモールなどを大々的に増築しています。
一方で、地域には公共事業として大規模に実施された施設の建造計画や改築計画などが頓挫し、税金のいわゆる無駄遣いが発生しています。
このような現状に関して、本書では
「道の駅」/ 観光協会や公共団体などの「第3セクター」 / 地域の「公園」の利活用
を具体的な事例として解説し、失敗事例と成功事例をもとに「地方創生」の改善策を提示しています。
3:本質的な問題は、「人口減少」ではない!?
「地方創生」の問題において、常に問われている「人口減少及び人口流出」という問題。
では、実際に若者が地方に留まり納税をしていれば、地方は衰退を免れるのでしょうか?
地域自治体は、そのままの自治体経営を行い、単に人口の増加を期待しているだけで良いのでしょうか?
本書では、「地方自治体の経営」に着目し、地域の経済発展と雇用創出を軸に本質的な「地方創生」の問題を問い正しています。
4:自治体経営のノウハウについて
第3の要約ポイントで紹介した「地方自治体の経営」について、本書では
「稼いで投資し続けられる経営」
を中心に、利益を出し続けるビジネス構築及び民間主体での地域活性化事業について解説をしています。税金投入による公共事業の問題や地域自治体の無謀な事業計画の本質的な問題を暴いています。
5:地域活性化の組織運営|厳格なる計画、決意と責任
本書では、地方創生事業の計画を構築する際の重要な点やコンサルタント丸投げの事業計画に警鐘を鳴らしています。
ありきたりな地方創生の事業計画や責任の所在が不明なコンサルタントによる計画は、逆に地域の資金を蝕み地方経済の衰退を招くきっかけになるのではないでしょうか?
『地方創生大全』書籍情報
【書籍名】:地方創生大全
【著者名】:木下斉
【出版社】:東洋経済新報社
【出版日】:2016年10月7日
【頁 数】:258ページ
【目 次】
第1章 ネタの選び方:「何に取り組むか」を正しく決める
第2章 モノの使い方:使い倒して「儲け」を生み出す
第3章 ヒトのとらえ方:「量」を補うより「効率」で勝負する
第4章 カネの流れの見方:官民合わせた「地域全体」を黒字化する
第5章 組織の活かし方:「個の力」を最大限に高める