「ICT化が進む今、Society5.0とは?」
「Society5.0が変える社会とは?」
「Society5.0の事例って?」
今回は「情報社会(Society4.0)」に次ぐ、超スマート未来型社会と言われる「Society5.0」について解説します。ICT化が急速に拡大する現代における、ICTを活用した社会変革「Society5.0」とは?「Society5.0」の医療・介護分野における事例と共に紹介します。
以下の点を紹介!
・Society5.0とは?
・Society5.0の影響
・Society5.0の医療・介護分野における事例
目次
「第5期科学技術基本計画」の概要
・「科学技術基本計画」と「科学技術・イノベーション基本計画」
・「第5期科学技術基本計画」
まずは、「Society5.0」が明記されている「第5期科学技術基本計画」とその策定プロセスについて紹介したいと思います。
政府は、社会の科学技術の普及に伴い長期的な視野に基づいた科学技術政策を実行する旨を踏まえ、平成7年「科学技術基本法」を策定し、平成8年度より5回に渡って「科学技術基本計画」を策定してきました。
(第1期:H8~12、第2期:H13~17、第3期:H18~22、第4期:H23~27)
*第5期:H28~32
H28~の第5期科学技術基本計画が現在進行中なのか!!
令和2年度には、昨今の科学技術やイノベーション技術の急激な発展と社会への普及に伴う、人間や社会との科学技術・イノベーション技術との密接な関係性を踏まえ、「人文科学のみに係る科学技術」及び「イノベーションの創出」を振興の対象に加え、研究者や科学技術分野の人材の確保と教育等の施策も新たに明記されました。
令和3年度からは、上記の新事項により、
「科学技術基本計画」⇒「科学技術・イノベーション基本計画」として策定されます。
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「第5期科学技術基本計画」の特徴
「第5期科学技術基本計画」は、上記の「科学技術基本計画」に基づき策定されました。
ICTの急激な社会普及に伴い、より一層の科学技術イノベーションの推進が必要になってきている一方、日本国内では、科学技術における「基盤的な力」の弱体化や政府研究開発投資の停滞等、科学技術イノベーション推進に向けた課題が存在しています。
「4つの【姿】と4つの【柱】」
政府は、上記のような社会状況の急激な変化や科学技術イノベーション分野における課題に対して、「長期的な戦略に基づいた先見性と戦略性」「様々な変化に的確に対応していく多様性と柔軟性」を重視する方針として、以下4つの国が目指す理想の姿を定義しました。
4つの国が目指す理想の姿🔗
1持続的な成長と地域社会の自律的発展
2国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現
3地球規模課題への対応と世界の発展への貢献
4知の資産の持続的創出
政府は、これら4つの国が目指す姿の実現に向けて、4つ具体的な柱を定義しています。
4つの具体的な柱🔗
1未来の産業創造と社会変革
新しい価値やサービスを創出し、社会に大きな変化と変革を引き起こす為、イノベーションを生み出す研究開発を強化し、「Society5.0」に基づき「超スマート社会」の実現を達成する。
2経済・社会的な課題への対応
国内だけでなく世界規模での課題に対して、国が先導を取り、課題解決に向けた科学技術イノベーション推進に取り組む。
3基盤的な力の強化
長期的な視野に立った社会変化に的確に対応する為、若手人材の育成・活躍の促進をと大学等の教育機関の改革・機能強化を中心に、基盤強化に取り組む。
4人材、知、資金の好循環システムの構築
国内外の人材、知、資金が循環しイノベーションを生み出すシステム作りを目指し、企業や大学、公的研究機関の本格的な連携とベンチャー企業の創出強化等に取り組む。
参考:内閣府科学技術基本計画
「Society5.0」とは?
「Society5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)と定義づけられています。
「Society5.0」の社会では、フィジカル空間(現実空間)から得られた膨大で様々なビッグデータをサイバー空間(仮想空間)で、人口知能(AI)が解析し、その解析データを人間が様々な形で活用します。
Society4.0の人間が解析しきれなかった膨大な量のデータを、「Society5.0」では解析が可能になり、今まで実現することの出来なかった様々な技術が誕生する可能性があります。
狩猟社会(Society1.0)→農耕社会(Society2.0)→工業社会(Society3.0)→情報社会(Society4.0)→「Society5.0」
「Society5.0」が果たす社会への影響
社会的課題の解決への一歩
私たちの社会には、見えない所で様々な問題や課題が発生しています。温室効果ガスによる地球温暖化、発展途上国の食料不足や衛星問題、先進国の食品ロスの増加、少子高齢化、自然を破壊する人間活動、富の再配分や格差等、様々な問題が発生しておりその実態は複雑化しています。
このような社会状況において、自然環境変移のAI分析、IoTやロボット技術による高齢者支援、ICT技術を用いた持続可能な産業作り等、イノベーション技術を活用した社会課題の解決が期待されています。
さらなる経済の発展
IoTやAI、ビッグデータ等のイノベーション技術を活用して、自動生産技術の普及と人員コスト削減、データ解析による最適なバリューチェーンや配送方法の自動分析等、これまで実現出来なかったシステムの導入により、地域・年齢・性別・言語等の格差がなくなり、社会全体の効率的な経済活動の促進が期待されています。
人間の恒久的な豊かな生活
ビッグデータの活用やAI解析、ロボット技術等により、人間が負担していた業務や作業等をイノベーション技術が代行・支援し、人間が人間らしく快適で豊かな生活を過ごせるようになることが期待されています。
参考:内閣府HP
Society5.0と医療・介護【事例集】
事例①:「Repotti(レポッティ)」、音声入力で業務改善
株式会社infoNetがサービス提供する「Repotti(レポッティ)」は、ユーザーの音声や文章等の入力データをAIが自動で「分類・変換・登録」する音声入力レポーティングシステムです。活動管理書の作成や社外環境での資料作成等において、スムーズに業務を行い、負担の軽減をすることが出来ます。
医療現場においては、患者の容体や活動報告を逐一メモし、激務の中日誌や管理帳を入力していた手間が省け、現場において音声や文章でデータを入力するだけですぐにそこでの活動報告を行うことが出来ます。
参考:株式会社infoNet
事例②:「かがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)」、国内初の医療情報ネットワーク
「かがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)」は、2003年に運用を始められた医療情報ネットワークで、コンピュータネットワークにより150以上の県内の病院や診療所が結ばれている。
香川県では、有人離島も多く十分な医療を受けることが出来ない人や病気にかかると在宅に戻れない等の問題がありました。このような課題に対し、医療情報ネットワークを活用し、離島間や病院間での患者情報のカルテ共有及び緊急な病気の発見と治療をスムーズに行うことが出来るようになりました。また、大病院からの退院後もデータ共有を行うことで離島においても十分な医療を受けることが出来ます。
病院や診療所、医師間においても、すぐに専門医に相談が出来る環境となり、特別なMRI機器やCT等がない遠隔地においては、オンライン診療による専門診療を仰ぐことも可能となります。
参考:株式会社ソラスト「オンライン診療の現状の今後の可能性」
事例③:「スマートホームメディカルサービス」株式会社オプティム
株式会社オプティムがサービス提供する「スマートホームメディカルサービス」は、患者や高齢者が住み慣れた自宅で在宅医療を行い、医療従事者の負担を軽減することを目的としたもので、AIによる自宅の環境管理及び患者や高齢の体調管理、医療機関の遠隔治療サービスの提供やお声がけ等、遠隔地でありながら細やかな医療を受けることが出来ます。
参考:株式会社オプティム
事例④:「ヘルスケア×MaaS」横浜国立大学
2019年横浜国立大学は、バスやタクシー、電車等の各種交通手段がシームレスに繋がる新たなサービス「MaaS」と医療介護等のヘルスケアサービスを一体化させより快適でスムーズなヘルスケアシステムの構築に向けた「ヘルスケアMaaS」の研究拠点を設置しました。
介護患者や周辺施設の情報を管理し、快適で効率的な施設への送迎システムの構築や公共交通機関を巻き込んだ高齢者や介護従事者の送迎サービス等の研究に取り組んでいます。
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「ドローンの処方箋配送」国内初の実証実験
2020年、経済産業省や旭川医科大、ANAホールディングス等が主体となり、北海道の旭川市で病院の薬局から遠方の老人ホームへ処方箋を配送する実証実験が行われました。
遠隔治療の実施と処方箋による薬剤師の服薬指導をオンライン上で行い、ドローンにより薬剤の配送が行われました。ドローンを使った事業において、ドローン法整備が進む中で、遠隔地や移動が困難な地域の高齢者や在宅医療者に、スムーズな医療サービスを提供できることが期待されています。
参考:東京新聞
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まとめ:「Society5.0」から見える未来の社会
今回は、「Society5.0」の概念やその社会への影響力について紹介いたしました。現在の複雑化する社会課題や更なる経済の発展及び人間にとってより良い快適な暮らしを支えるために、ICTを活用した「超スマート社会」は今後さらに発展していくでしょう。