観光客がもたらす悪影響⁉|観光客が果たすべき責任ある観光「レスポンシブルツーリズム」とは

「地域に観光客が増えすぎて迷惑になっている」

「ゴミ問題や騒音被害、交通渋滞など様々な問題が出てきた」

「観光客が多いのは嬉しいけど、手放しでは喜べないな」

今回は、観光客自身が果たすべき責任や地域とどう関わっていくべきかについて解説します。「観光客=悪影響」とならないような、責任ある観光「レスポンシブルツーリズム」とは?

以下の点を解説!

・観光客の増加に隠れる観光被害

・レスポンシブルツーリズムとは

・地域と観光客、どう関わっていくべきか?

観光客の増加は良いこと?|観光被害の増加になることも!?

・手放しでは喜べない観光客の増加に伴う地域の現状

コロナ禍前の2019年の訪日外国人旅行者の数は、過去最高の3188万人となり7年連続で過去最高を更新していました。

また、日本人国内の旅行市場も大きく広がりを見せています。

日本人国内の旅行者数は5億8710万人と約15倍。訪日外国人旅行者の旅行消費額に対する日本人国内の旅行消費額は、約5倍の22兆円となっています。

◆広がるオーバーツーリズムの弊害

国際観光や国内観光の発展により、地域に旅行する観光客の数が増加したことは明白です。

一方で、観光客の大幅な増加によって、地域住民の生活や周辺の自然・社会環境に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」という事態も発生しています。

例えば、スペインのバルセロナでは、旧市街やサグラダ・ファミリアなどの観光地を旅行する観光客による騒音被害やごみ投棄の問題などで、反観光デモが起こりました。

代表的な観光被害の例

オーバーツーリズムによる観光被害は、社会・自然環境に特に影響を及ぼしています。

観光庁による資料では、観光地において発生する主な課題は

・「マイカーや観光バス等による交通渋滞(34%)」

・「宿泊施設の不足(30%)」

・「住宅地や公共の場へのごみ投棄(20%)」

・「日帰り客等の増加による観光収益の漏出(31%)」

・「観光客によるトイレの不適切な使用(25%)」

・「観光客による立入禁止区域への侵入(16%)」

・「緊急時等の観光客の安全確保・トラブル対応(24%)」

・「観光客の季節変動が大きいことによる観光従業者の雇用の不安定さ(22%)」

等が挙げられます。

参考:観光庁「持続可能な観光先進国に向けて」

責任ある観光「レスポンシブルツーリズム」とは

オーバーツーリズムや観光客のマナー違反などにより、観光地に住む住民や生活・自然環境が脅かされています。

そこで、観光に従事する方だけでなく、観光客自身も、地域や観光地を守る行動を実践しようという「レスポンシブルツーリズム(責任ある観光)」が注目されています。

国際的に、SDGsなど社会や自然環境を守る取り組みがトレンドとなっており、観光地で増え続ける観光被害などもその解決対象となっています。

ただ楽しさを消費するだけでなく、持続していく観光の姿を、観光客自身も考えていく必要が迫っているのです。

それに気付いている方々は、どのくらいいるでしょうか?

「地域と観光客」、双方は今後どう関わっていくべきか?

・持続可能な観光開発、地域と観光客に利益をもたらす観光施策を考える

例えば、地域を良く知り熱烈なファンとなっている「お客様」に対し、CRMマーケティングやロイヤリティ制度を活用した施策を行うことがあります。

近年は、観光税など観光地に行くこと自体に収益性を持たせ、地域開発の維持に充てる取り組みがなされています。

そこで、単なる観光税ではなく、地域にファンを作る為の仕組みにすることが重要です。

観光税を支払う意義や貢献(ボランティア)の周知、そして発展する地域からのお礼としての物産品や旅行サービスなどの付与などを、地域のファン制度として確立していくことも一つの策です。

観光地域と観光客の関係は、SDGsなどのトレンドと合わせ必ず発展していくでしょう。