【観光士が教える】アグリツーリズムとは|日本農業を盛り上げるアグリツーリズム

「最近よく聞く『アグリツーリズム』とは?」

「日本って農業後進国だから『アグリツーリズム』は難しい?」

今回は、「農業」と関連を持つ「アグリツーリズム」について解説します。

シンプルな概念で捉えられるニューツーリズムですが、どのおくらい日本に大きな恩恵をもたらし、さらに「農業×観光」を救う未来へ導いてくれるでしょうか?

以下の点を解説

・アグリツーリズムとは

アグリツーリズムを取り巻く環境とメリット

アグリツーリズムとは

・農村部や農業地域で過ごす体験型スローライフ観光

「農泊」と聞いて、ピンとくるでしょうか?

「アグリツーリズム」とは、

農村地域で、農業体験や収穫体験、獲れたて食材を使った料理体験など、農村部でしか出来ない貴重な体験を通じたニューツーリズムです。

国際観光の観点から見ても「アグリツーリズム」は注目されており、その環境的配慮の面や地域の経済活性化など、全世界・地域にとって有益な観光と捉えられています。

「モノ消費からコト消費へ」という体験型のニューツーリズムとして捉えられる観光で、「エコツーリズム」や「サステナブルツーリズム」、「グリーンツーリズム」など、同じようなニューツーリズムも存在しています。

修学旅行などでの農泊体験が多かった以前と比較し、現在は個人が農泊先を見つけ、農業体験をするなど個人消費がアグリツーリズムとして注目されています。

▼関連記事:体験型「ニューツーリズム」とは?その事例▼

▼関連記事:持続可能な観光の形「サステナブルツーリズム」とは▼

▼関連記事:自然溢れる場所での観光「グリーンツーリズム」とは▼

アグリツーリズムを取り巻く日本農業の実態

・「アグリツーリズム」以前に、日本の農業は衰退しているのではないか?

・食料自給率は年々減少し、農業従事者も高齢化し減少しているのでは?

・農業は低収益で、構造的な改革や保護が必要であるのでは?

という、「日本農業=衰退」のような話を頻繁に耳にします。

しかし、「日本の農業が衰退している」という言説は間違いで、農業生産レベルをを測る「食料自給率」の基準が世界基準でなく、農水省および日本政府に有利なように矮小されているという現実があります。

では、日本はどのような「食料自給率」の基準を設け、どのような政策を推進しているのか?

そして、それは技術革新により大きく成長している日本農業を実は衰退させるものではないか?

「アグリツーリズム」に従事したい観光業者が学習すべき、日本の農業の実態について示唆に富む一冊です。

▼関連書籍:日本を取り巻く農業事情は?「アグリツーリズム」従事者必須の一冊▼

アグリツーリズムがもたらす恩恵

・地域の自然環境の保全へ

アグリツーリズム推進による恩恵は、直接的・間接的に自然環境への恩恵となるでしょう。

例えば、農業体験を通じた観光教育で、地域農業に関心を持ってもらい、将来の農業従事者を育成し、また自然保護への意識に繋がる契機にもなります。

また、アグリツーリズムにも含まれる直接的な自然保護活動である植林活動や生態系維持、害獣駆除とジビエ料理体験など、様々な地域農業・自然に関わるメリットがあります。

・「自然」を活用した観光コンテンツの発展と観光立国の日本へ

世界的に見ても、アグリツーリズムは大きな市場となっています。

REPORTOCEANが発行したレポートによると、

アグリツーリズムの市場規模は2027年に62,982百万ドルにまで達すると予想され、2021年∼2027年の年平均成長率は13.4%と試算されています。

農業体験だけでなく、レストランやワイナリー、自然環境での音楽フェスや国際農業イベントやショーなど、様々なアグリツーリズムの活動が行われています。

農業従事者も単に農作物を生産するだけでなく、農産物のマーケティング活動やそれを活用した新たなビジネス創出が重要となっています。